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『ホニン族から合格者が出た』
そのニュースは一族を、そして何より受験者本人を驚かせた。
(ほんとーに合格通知だ…。)
感無量とばかりにその紅の通知書を眺め、彼女…シュリは僅かに溜め息をついた。
(いやいやー、落ち着け自分。これはもしかすると向こうでミスがあったのかもしれない。なにしろ都会は人が多いらしいからなぁ…。)
内心妙な理由付けをしながら彼女はそろそろと封筒に其を仕舞い込む。
(うんにゃ、そうに違いない。なにしろ都会だから)←偏見
彼女は机の上に何気なく置かれていた封筒を抱えると、リビングへと向かった。
煉瓦作りの赤茶の廊下は足音が良く響く。
「兄ちゃん、合格通知がきとったよ。」
「そっかあ、ダメだったかぁ、きにしちゃだめさー…、ん?」
「うんにゃ、受かっとったよ。」
「…。…そりゃ、なんかの手違いかもなぁ…。なにせ都会だから…。」
ずずず、とコーヒーを啜りながらシュリの頭を撫でる兄にシュリは書類を見せた。
「偽物かも知れんけど長老のじーちゃんたちに見せにいく?」
「そーさね。通知書みたら吃驚してぎっくり腰がなおるかもしれん。」
「ばーちゃんたち、偽物でもきっと有り難がって拝むと思う。」
「そりゃ、拝むと思うさ。本物だったらご神体さー。」
きゃいきゃいと二人して笑って長老のもとへと向かう。
その通知書が本物だとわかるまで、あと、三分程だった。
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