Maybe,it is an introduction .

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*** 「「おーきーなー…」」 ぽかんと口を開けた二人組が、いた。 「村が全部入っちゃうね、兄ちゃん…。」 「むしろ5つくらいは入りそうさー…。」 入学式当日、二人はスーツケースを片手にペンタクルに来ていた。 聳え立つのは学校と言うより城に近い。 魔石がいくつも埋め込まれ、一体化しているせいで、校舎自体から魔力が溢れていた。 「シュリ。」 「ー、」 「シュリ?」 「!」 魔力に意識が飲み込まれそうになる。 それから無理矢理引き剥がし、シュリはカイリを見上げた。 「兄ちゃん、どうかした?」 「いーや?…マキシ叔母さんが作ったローブ、いいやんね。」 「そーだね。ちょっとふわふわだけど…」 「シュリは可愛いけんばっちりさー!」 仕立ての良いローブにホニン族特有の緑がかった黒髪は良い意味でも悪い意味でもよく目立つ。 カイリにいたっては持ち前の顔の良さもあり、二人はかなりの人目を引いていた。 (さすがだなー、兄ちゃん。村でもモテモテだったからなー。) 笑顔で女の子を振る兄を見た数は数知れずである。 (まあ、彼女をたくさん作るよりは良いのかなー。) 「シュリー、おいてくさー。」 「あ、まって兄ちゃん!」 ぼんやりとそんなことを考えながら、シュリはカイリの後を追ったのだった。
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