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「トモっ!」
焦ったように僕を呼ぶタクに不思議に思って首を傾げると、その場でギューっと抱きしめられた。
「あぁよかった。電話で様子変だったから、何かあったのかと思って…。」
成る程、と納得しつつもそう言われるとイライラが復活してきて、僕はタクの背にいつものように回していた手を下げた。
それに今度はタクが不思議そうな顔をする。
だから僕はとびっきりの笑顔で言ってやったんだ。
「婚約者、いるんだって?」
「っ!そ、れは…!」
過剰反応のようにビクついたタクの体を離して、なんて言おうか悩んでいるタクに向かって僕は更に言い募る。
僕に隠し事なんて、いい度胸じゃないかタク。
僕たちのこれまでの信頼関係を、お前から壊そうとしているんだよ?
それが僕には酷く腹立たしい。
婚約者なんて、婚約者なんて…。
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