僕と彼。

5/15
前へ
/15ページ
次へ
不躾な視線を送ってくるだけで、なかなか話しださない女に、僕はため息を吐いてから声をかけた。 「で、タクのことでしょ?なんですか?」 僕がタクの名前を出すとキッと睨みつけてきた女は、注文した紅茶を一口飲んでからやっと口を開いた。 「単刀直入にお尋ねします。」 「なんでしょう?」 冷静さを意識して話す女に、僕もいたって冷静に話す。 話の内容は、予想がつくから。 「タクミさんとはどうゆう関係ですの?」 「恋人です。」 問われたことに即答すれば、女は絶句した。 知っていてきたんじゃないのだろうか?それともそんなハズがないと思っていたか。 「男同士ですよ?恋人なんてっ!」 後者の予想があたったことに納得して、顔を赤くして怒る女に視線を向ける。 「あなたがどう思おうが、僕たちは恋人同士です。」 理解できない人には、理解できない。嫌悪する人に認めろと強要するつもりはない。 けれど、これは事実だ。 他人の意見なんて必要としていない。僕たちは、愛し合っているんだから。 それだけが、事実。 「そんなの認められないわ!」 「あなたに認めてもらう必要はありません。」 .
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

153人が本棚に入れています
本棚に追加