霧咲燈夏の探偵事務所

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所長が事務所にいないせいか、経過する時間を長く感じてしまう。 所長がいても暇なのに唯一の話し相手がいないと更に暇だ。 ここ最近は依頼が無かったせいで金で時間を潰す事もできない。 所長にしては珍しく『営業』に行ってくるという伝言を残して一昨日から行方がわからなかった。 所長が自分で営業に行く時は金持ちか、俺たちが求める情報を持っている奴のどちらかだ。 所長曰く俺はまだ信用が置けないらしい。なので重要事項は事務所長である彼女自らが処理している。 この事務所で唯一の社員で、会計担当である俺に本業の探偵を任せない事務所長は本日正午に帰るらしいが、壁に掛けられた時計は午後二時を指し示してい…。 『帰ってきたよ!』 『…俺の視界にズームインしながら入らないでください。パワーポイントですか。』 相変わらずテンションだけは高い。少女のような…いや、一応所長は17歳だから少女なのだが どちらかというと幼女体型だ。 所長と俺は同い年だが日本の縦社会に倣って不服だが上司になる。 『で、営業の方は依頼人と契約できました?』 『うんにゃ。断られた。』 即答。屈託のない顔で笑っていやがる。身長167センチとけっして高くはない俺より頭二つくらい小さい彼女はそのまま悪びれる事なく黒革の椅子に腰掛ける。 屈託は無いが成果が一つもない事に対しての反省の弁もない。 『…ちょっと待ってください。じゃあ何で2日もかかったんですか。場合によっては事務所経費の返還を求めます。』
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