2199人が本棚に入れています
本棚に追加
「可愛いと思うけどなぁ~。」
今更意見を曲げる訳にもいかず、可愛いという意見を貫く事にした。
「嘘はいいって!どうせ金髪の理由でも聞きたいんでしょ?」
「まぁ、当たり。」
千夏、意外と鋭いな。
「ちなはさぁ、人と話するの苦手なの。」
「俺とは普通に話してるじゃん?」
苦手、という割には、さっきから普通に話してるし、凄みをきかせた声で俺に詰め寄ったりもしてきたよな?
「お兄ちゃん、ちなとおんなじ匂いするから。」
「おんなじ匂い?」
「お兄ちゃん、友達いないでしょ?」
「……」
あまりにもドンピシャで、なんも言い返せねぇ…
「ちなもなんだ。人と話せなかったら、友達いなくて当たり前だよね。」
千夏の目には、涙が浮かんでいた。
友達を作りたいのにできないっていう気持ちはわかるけどな…
「でも、なんで金髪?」
「だって、普通にしてたら、気にかけて話しかけてくる人がいるでしょ?でも、どうせ話せなくて友達になれないなら、最初から話かけられない方がいいもん。こんな頭してれば、だれも寄ってこないでしょ?」
「……」
ただグレたとかじゃなくて、千夏は、辛い思いして金髪にしてるんだな。
「嫌な事聞いてごめんな。」
「別にいいけど、たまにでいいから、話相手して欲しいな。」
なんか、不良なんて思っちゃって悪かったな。
普通に友達が欲しい女の子じゃねぇか。
「毎日、でもいいぜ?」
「……じゃあ、毎日で。」
千夏は、控え目に毎日を選んだ。
ぶっちゃけ、俺も親父以外とまともに話すのは久しぶりだったから、千夏と話をするのは楽しみだった。
最初のコメントを投稿しよう!