金色の義妹、襲来

16/30
前へ
/377ページ
次へ
『遅刻』という言葉で、火がついた千夏は、あの後あり得ないようなスピードで学校に行く準備をしていた。 「ごめんなさいお兄ちゃん!」 「やっと覚醒したみたいだな。」 「いいから早く!」 「はいはい。」 倉庫から引っ張り出してきた自転車の荷台に千夏を乗せ、しっかり乗ってる事を確認して出発した。 「ふふっ!」 千夏は、俺にしがみつきながら笑っていた。 てめぇのせいで遅刻しそうなのに、いいご身分だぜ… 「俺が激こぎしてんのそんなに面白いか?」 「楽しいのは、それじゃないよ♪」 嫌みたっぷりに質問してみたんだが、それでも千夏は、悪びれることなくにこにこしていた。 「つか、くっつきすぎだろ。」 「いいじゃん。妹なんだから。」 「普通の義妹はそんなことしねぇよ!」 千夏の中での兄妹像は、一緒に寝たり、二ケツするときピッタリくっついたりするような、仲むつまじいものだと思っているんだろうか? 「すりすり~♪」 「人が頑張ってる時にすりすりすんな!」 「えへっ♪」 つか、そんなにくっつかれると胸が、胸が当たるんですが…… 「お兄ちゃんがんばれぇ!」 俺がそんな事を思ってるとはつゆ知らず、千夏は、無邪気に荷台ではしゃいでいた。 「……」 俺は、無心でチャリをこぎ続けた。
/377ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2199人が本棚に入れています
本棚に追加