2199人が本棚に入れています
本棚に追加
本屋の駐輪場に自転車を停め、店内に入った瞬間、千夏は小説コーナーにパタパタ走っていった。
店の中は走るなって注意する前に、俺の頭の中には一つの考えが浮かんでいた。
千夏、ラノベ買いたかったんだな!
オタクっぽいから、出来ることなら知られたくないと!
なるほどなるほど!
俺は、勝手に納得して、小説コーナーに行った千夏のところに行ってみた。
千夏は簡単に見つかったんだが、俺が予想したラノベではない全く別のコーナーを物色していた。
千夏さん、それって…
「どれにしよっかなぁ~」
「千夏。」
「ん?ひ、ひょわーっ!お、おおおお兄ちゃん!!??」
どんだけ驚いてんだよ。
まぁ千夏が物色してた本的に、俺から話しかけられたら驚くだろうな。
なんたって、千夏が物色していた本は、『官能小説』もっとわかりやすく言えば、『エロ小説』なのだから!
「これは、その……」
千夏はもじもじしていたが、俺は、冷やかしたり罵るつもりは全くなかった。
「あの……お兄ちゃん?」
「ん?」
「やっぱり、引いた?」
「全然。びっくりはしたけどな!」
作ったような台詞だが、嘘ではない。
千夏が不良じゃないってわかった時の衝撃に比べれば、エロ小説くらいなんともない。
「よかったぁ~。」
「お前心配しすぎだろ?」
「だって、嫌われたくなかったんだもん!」
「嫌わねぇって。」
「絶対?」
「絶対。」
絶対というのが嬉しかったのか、千夏はにっこり笑っていた。
ふと思ったが、千夏のこういう顔見られるのって、俺だけだったりする!?
最初のコメントを投稿しよう!