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「確かにあれは少なすぎるよな。」
シャントも少しはイグニの立場を理解したらしい。
イグニは今からでも狩りに行って、たらふく肉を喰いたい。
そういう事なので、イグニだけは狩りに、ここを離れる事にした。
しかしその前に、イグニはカズミの方を向いて
「カズミ。お前も一緒に狩りに行かないか。」
イグニがカズミに一緒に狩りに行かないかと誘ってきた。
カズミはイグニの誘いを受けるか、迷った。自分は今、腹が減っているのか…。
減っているわけが無かった。
なにせ、カズミはオルトロスとケルベロスの大群の肉を一通り喰ってきたのだ。
カズミとイグニはほぼ同時にそれを思い出した。
「…そっか…。カズミついさっき喰ったばっかか…。じゃあ僕だけで行くよ。」
イグニは少し寂しそうに翼を広げた。
しかし、カズミはある重要な事を思い出した。狩りをして獲物を仕留めないと生きていけない。
そうなると…
「あ、イグニ!」
カズミはいきなりイグニに呼びかけた。
それは、カズミを呼び止めたシャントと似た光景だった。
「何だ?」
イグニはカズミの方を振り向く。
シャントも何故カズミがイグニを止めたのか理解出来なかった。
すると、カズミの口から信じられない言葉が出た。
「狩りの方法を知りたいんだ。イグニの狩りを見せてもらってもいいかな?」
シャントとイグニはカズミの言葉を聞いて、驚いた。「狩りの方法を知りたい」自分と同じくらいの年のドラゴンがそう言った。
これはつまり、カズミは今まで狩りの仕方を知らなかったという事だ。
じゃあ、今までカズミはどうやって生きてきたんだろう。
シャントとイグニはカズミの事がますます分からなくなった。
「え?何言ってんの?」
イグニは、はみかみながらそう答えた。
はみかむのも無理はないだろうが。
「そのままの意味だよ。」
カズミは真剣だった。
その真剣な眼差しに負け、イグニは「分かったよ。別にいいよ」とカズミに言い、カズミと共に青空に向かって飛んだ。
シャントは一緒に行こうかどうか迷ったが、また2体は帰ってくるはずなので、しばらくここでリラックスする事に決めた。
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