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2体のドラゴンが牛の大群を発見した。
しかし、狩りに出るのは1体の赤い方のドラゴンだけだ。
もう1体の青いドラゴンは赤いドラゴンの狩りを見るだけだった。
「…まぁ、狩りの方法っても大した事はしないな。まず、こうやってギリギリ獲物が見える範囲まで、高度を上げる。こうすれば、獲物の牛達は僕たちの事には気付かない。」
そういう2体のドラゴンは、ほぼ雲の中にいた。いわゆる雲が草むら代わりなのだろう。
ドラゴンはあらゆる面が万能だ。ここまで高く飛んでいても獲物の動物の存在は、確認できる。
「で?ここからどうやって獲物を狩るんだ?」
青いドラゴンがそう赤い方に聞いた。
「ん~…。そうだな…。急降下ってやつかな。まぁ、これはやり方それぞれだな。」
そう赤いドラゴンは言うと、もうターゲットを絞ったのか、すぐさま急降下をし、ものすごい速さで地面に近づく。
牛の群れはドラゴンの存在に気づき、逃げようとするが、時すでに遅し。
まるで隕石でも落下したのかと思えるほどの、ものすごく大きな轟音が辺りに響いた。
そして、ドラゴンが落ちた場所はあまりの衝撃で土煙が舞い、状況が確認出来ない。
しかし土煙が収まり、ようやくどうなっているのかが分かった。
そこには赤いドラゴンが誇らしげに、大人の牛一頭を掴んでいた。そして足元にはもう一頭の大人の牛が倒れている。
「大量大量。」
赤いドラゴンは嬉しそうにそう言った。
今回の狩りは無事、成功した様だ。これだけあれば、しばらくは大丈夫だろう。
狩りが終了したのを見て、青いドラゴンは赤いドラゴンのすぐ近くに着地した。
「ま、こんなもんだ。」
赤いドラゴンは如何にも嬉しそうな顔をしていた。
「なるほど、大体分かった。」
青いドラゴンは大雑把な返答をしたが、赤いドラゴンはそれを気にしなかった。
…そして我慢できなかったのか、その場で牛に噛り付いた。
青いドラゴンは最初「うわっ」と言って、目をそむけるが、不思議とそれを見て気持ち悪いという感覚はしなかった。
しかし、自分はまだ腹が減っていない。
赤いドラゴンが牛を美味しそうに食べるのを見ながら、青い方は
「喰い終わったら、シャントのところに戻ろっか。」
と赤いドラゴンに言った。赤いドラゴンは、無言で肉を噛り付きながら頷いた。
「こっちも色々と聞きたいことあるしな」赤いドラゴンはそう考えながら牛を食べていた。
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