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空を飛んでいたシャントとイグニ、カズミがある草原に降りた。
「今度は違う草原だな。」
周りを見たカズミはそう言った。
確かに、前のあの草原とは違う場所だ。
あそこは本当に何もなかったが、ここは岩がそこら辺にあった。
「ここは僕らが技の練習に使ってる場所。今日は誰も使ってないと思うから、思いっきり練習ができる。」
シャントがハキハキと答えた。
つまりここは練習場らしい。しかし、カズミは訳が分からないことがあった。
「技って…。これのことか?」
カズミはシャント達に見えるように口から小さく息を吐いた。
しかし口の中から出てきたのは、小さな炎だった。
「おぉ。火吐けるんだ、カズミ。」
シャントが少し感心していた。
その言葉を聞いたカズミは少しムッとして、シャントを睨んだ。
「これぐらい出来る。」
シャントは軽く笑いながら「ごめんごめん」と謝った。
「でも、それのことじゃないんだよね。まぁ、そっちも時々練習するけど。」
意味が分からない。火を吐くこと以外、他に何があるのだろう。
「僕らはここでよく魔法の練習をするんだ。な。」
黙っていたイグニがようやく登場した。
イグニはシャントと比べると口数が少ない。「シャントと比べて」だが。
「魔法?」
カズミはイグニが言ったことに明らかに驚いていた。
「魔法なんて…使えるのか?」
「うん。やってみようか?」
そう言うとシャントは、いきなり空へ飛んだ。
「地の魔法使うから、こっちに来て!」
「地の魔法」。恐らく名前からして、地面に何かするのだろう。
2体はシャントの呼びかけに反応し、シャントと同様、空へ飛んだ。
カズミがシャントの隣にやって来た。
それを確認すると、シャントは意味の分からない言葉をそこそこの大声で叫んだ。
「ルガリア!」
するとどうだろう。
なんと一瞬で、地面が盛り上がり、地面に山が出来たのだ。
…足で踏み潰せるぐらいのとても小さな山だが。
「早速、上級魔法か。」
イグニが呟いた。これは上級魔法らしい。
本来はもっと大きな山が出来るのであろうか。
「今回はもう少し出来ると思ったんだけどなぁ…。」
シャントが凹んでる。やはり失敗だった様だ。
「そんな事よりさっさと地面を元に戻せ。」
イグニが呆れたように言った。
シャントは小さな声で呪文らしき言葉を呟いた。
「メーンレオナ…。」
するとあの小さな山は、静かに姿を消していった。
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