ドラゴン

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雲一つ見当たらない青空に、黄色い何かが飛んで来た。 それは大きな翼を持ち、額には二本の角、そしてワニの様な口を持っていた。 体色が黄色な理由は、その何かの体全体に黄色い鱗が付いているからだ。 それは間違いなく黄色いドラゴンだった。 その黄色いドラゴンは翼を巧みに扱い、草原が広がる緑色の地面に綺麗に着地した。 「はぁー!やっぱここは心が落ち着くなぁ~。」 ドラゴンは地面に寝そべり、そう叫んだ。 その声は低い声だったが、まだその声の何処かに幼さが残っていた。 どうやらこのドラゴンは雄のドラゴンだそうだ。それもまだ子供…と言っても人間で例えると15、6歳くらいか。 「……しかし暇だな。何か面白い事があればなぁ…。」 彼はつまらなそうにそう言った。すると勢いよく立ち上がると周りを見当し、 「狩りでもすっかなぁ…。まだ腹減ってないけど。」 後半の部分は若干早口で小さくそう言った。 しかしここは木も一本も見当たらない大草原だ。見たところ獲物がいそうにも無い。第一、何故かこの草原はある一定時間になったら野生の動物達は何処かに行ってしまう。 特に意味はない。ただ、偶然そんな空白な時間が生まれただけだ。それを彼は知って、今ここにいる。周りにウサギやら鹿の動物がいたらドラゴンの自分を見るなり、驚いて勢いよく逃げる。 彼はそんな状況には慣れている。慣れなければ狩りは出来ない。 しかし、リラックスしたい時は別だ。 リラックスしに来ただけなのに周りから逃げられては流石に気持ちが良くならない。 だからこそ、彼はこの時間にここにやって来たのだ。 「…ってこんな時間にウサギとかいるわけないか。」 彼は小さく呟いた。あまりにも退屈すぎる。 リラックスしに来たつもりが全然リラックス出来てない。 あいつは今、用があって出かけてるし…。全くこういう時にいないのが本当に困る。 あいつといれば少しは時間が潰せるのに…。 ドラゴンは大きな溜息を吐いた。
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