ドラゴン

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「……。」 森の中で青いドラゴンが倒れている。 そのドラゴンは一行に目を覚ます気配は無い。 しかし死んでいる訳では無い。見たところ体には何の怪我も無い。 しかし、そのドラゴンは目を閉じたままだった…。 黄色いドラゴンはビレームとイグニがいるであろう場所に向かって飛んでいた。 自分の真下には生い茂った森があった。 ここなら動物もいるだろう。しかし、狩りは一昨日したばかりだ。しかも大きな鹿を二頭も食べた。 これでは当分腹は空かないだろう。 そう考えている内にどんどんビレームの方に近づいていく。 まだ遠いが、このスピードならあと十分ぐらいで… 「ん?」 彼は一瞬下を見ていた。飛んでいる最中に下を見るのは危険な気がするが、嗅覚に頼れば、何の問題も無い。 木にぶつかりそうになっても木の匂いを嗅いで、木を避ければいい。 第一、ここにそんなに長い木は生えていない。 だから彼は時々、下の景色を眺めながら空を飛ぶ事がある。これも一種の暇潰しのようなものだろう。 しかし下を見るのは一瞬だ。 ずっと見ると気分も悪くなるし、必然的に飛ぶスピードが遅くなる。 彼はその一瞬を楽しむのだ。 だが、その一瞬で何かを発見した。 気になった彼は、その何かを発見した近くの場所に降りた。 森の中には小鳥のさえずりが色々な場所に響いてた。 中々ここも心が落ち着く。残念なのはここにはいつも動物がいる事だ。 場合によると威嚇しに大きな声を上げる動物もいる。 そんな動物がいる場所でリラックスなんて出来る気がしない。 そんな事を考えつつ、彼はあの時見つけた「何か」がいる場所に歩いて向かった。 「え…。」 案外それはすぐ見つかった。 まぁ、彼はこの近くにあると思い、近くの場所に降りたのだ。 当然と言えば当然だろう。 そこには自分と同じくらいの年に見える青い体のドラゴンがまるで死んだかの様に倒れていた。 しかし見たところ外傷は無いのでただ倒れてるだけかもしれない。 いや、ただ倒れてるだけでも大問題だ。そう思った彼はその青いドラゴンに駆け寄った。 「ねぇ!大丈夫!?ねぇ!」 青いドラゴンの体を揺すりながら大声で言った。 しかし反応が無い。 「まさか…病気で…死んだ…とか?」 力の無い声でそう彼は呟いた。 青いドラゴンには何の反応も無い。もしかして本当に死んでいるのか。 そんな不安が、彼には過ぎった…。
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