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「どうした?」
ビレームがイグニに呼ばれて、シャントと倒れてる青いドラゴンがいる場所にやって来た。
「ビレームさん!」
シャントはビレームに近づき、状況を説明しようとした。
しかしビレームは、青いドラゴンの姿を見るなり目を細めて呟いた。
「なるほどな。まず、こいつをどうにかしないとな。」
どうやらビレームは一瞬で状況を判断した様だ。
「シャント。バチスの野郎、まだ帰ってきて無いのか。」
ビレームはすぐにシャントに質問した。しかし、シャントはその質問を聞いて首を横に振った。
「父さんは今日の夜に帰ってくるから…。」
「くそ、あの薬草マニアが。肝心な時にいないんだから、自分の趣味に没頭しすぎなんだよ。」
ビレームの言葉についイグニは「あんたはどうなんだ」と心の中で呟いてしまった。しかし今はそんな状況では無い。
理由は分からないが、今此処にドラゴンが倒れている。
「父さん。やっぱこいつ、病気?」
イグニの質問にビレームは少し考え込んだが、ある一点を指差して「それは違うんじゃないか?」と答えた。
そこには肉を無残にも噛みちぎられた、二つの頭を持つ、犬の様な魔物、オルトロスと三つ首の犬の様な魔物、ケルベロスの死体があった。
それも大量に。
「「全然気付かんかった…。」」
シャントとイグニは同時に全く同じ言葉を発した。
確かにこんな物があるなんて気付かなかった。
それもこれも、目の前のドラゴンばかり目がいっていたからであろう。
今思えば、このドラゴンからには少なからず血の匂いがする。
どうやらこのオルトロスとケルベロスの大群を絶滅させたのは、このドラゴンらしい。しかも無傷。
流石のドラゴンでもこんな大群に襲いかかれたら、怪我じゃすまない。
こいつは一体何なんだろうか…。シャントが再び思うとその時、青いドラゴンの目が少し動いた。
「あ!」
シャントはそれに気づき、声を出してしまった。
「何だ?どうかしたか、シャント?」
「ん?」
それを聞いたイグニとビレームはシャントの方に向かい、その青いドラゴンを囲む様な形になり、そのドラゴンを見つめた。
すると、そのドラゴンはゆっくりと目を開けた。
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