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青いドラゴンはゆっくりと立ち上がり、シャント達の方を向いた。
「あ…あんたらは…?」
青いドラゴンはまだ体が怠いのか、元気の無い声で、シャント達に聞いた。
「あ、いや…君が此処で倒れてたから不安になって…。」
いきなりの質問にシャントは驚きながらも答えた。
青いドラゴンは「そっか…」と悲しそうな声で小さく呟いた。
「なぁ、まさかと思うが…あれ」
イグニは青いドラゴンに話しかけ、すぐにオルトロスやケルベロス達の死骸を指差してこう言った。
「あんたがやったのか?たった1体でこの大群を…。」
それを聴いた青いドラゴンは大群を見つめたまま、イグニの顔を見ずに
「……また…か…。」
「え?」
その声はあまりにも小すぎて、イグニは聴き取れなかった。
一体彼は今何を言ったのか。確か…「また」って…。
「………あぁ。あれは多分俺がやった。多分俺1体でな。」
ようやくさっきの質問に答えた様だ。しかしあまりにも答えが暖味すぎる。
「多分」とは一体どういう事なんだろうか。
こいつはとにかく謎が多すぎる。せめて何か一つだけでも分かればすっきりすると思うのだが…。何を聞こうか…。
「ねぇ。君、何て名前なの?」
ナイス質問だシャント。
せめて名前ぐらいは知りたい。
「……カズミ…。」
どうやらこの青いドラゴンの名前はカズミというらしい。
「随分と変わった名前だな。」
イグニはつい、思った事をそのまま口に出してしまった。
カズミは「そうかもな」とやはり元気の無い声で答えた。
「で?カズミ。何でお前は此処で倒れてたんだ?オルトロスとケルベロスの大群は倒したんだろ?もしかして疲れて寝てたとか?」
今まで黙っていたビレームがいきなり会話に入ってきた。
やはりビレームに黙っているなんてことは出来ない様だ。
事実、ビレームが此処まで静かだったのが珍しい。
「まぁ…そんなも…
「そんな事よりこっちも自己紹介しなきゃ!」
おいシャント。お前もちょっとは黙ってくれ。確かにこっちが名乗らないのはあれだが、話に割り込むことはないだろう。
しかし、シャントの言ってることも一理ありだ。
イグニとビレームは話を中断し、それぞれ自分の簡単な自己紹介をした。
「僕はイグニ。よろしく。」
「僕、シャント!よろしくね、カズミ!」
「あ~…俺はビレーム。イグニの父親だ。」
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