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「よ…よろしくお願いします…。」
カズミは少し驚いた様な表情で、頭を下げた。
こういうのが苦手なビレームは「もういいよな」とシャントに確認をとった後、話を元に戻した。
「ゴホン!でだ。何で此処で倒れてたんだ?」
ビレームの質問にカズミは面倒くさそうに頭を掻きながら、こう答えた。
「……疲れて眠った…って感じですかね。」
カズミは、はっきりとこう答えた。
「なるほど。」
ビレームは納得すると、そのまま何も聞かなかった。
シャントとイグニも聞くことは無いのか、黙っている。
それをカズミは確認すると、背中をシャント達に向けて翼を広げた。
「じゃ、俺はこれで。」
カズミはシャント達の元から飛びだとうとしているらしい。
カズミが翼を動かし、飛ぼうとした瞬間。
「ちょっと待って!」
誰かの声がカズミを止めた。
カズミは声が聞こえた方を振り向く。そこにいたのはシャントだった。
「な…何?」
「せっかく会ったんだから、もう少し一緒にいようよ。」
「え?」
カズミはシャントの言葉を聞いて、思わず迷ってしまった。
自分は今からシャント達から離れたかった。しかし、それをシャントが止めるのはあまりにも予想外だった。
「いや、俺とはあまり…
「でもまだ戦った時の疲れ残ってるでしょ?もう少し休んだ方がいいよ。カズミは強いんだから体を大事にしないと。」
全く会話が成立しない。シャントは話を中断させるのが何故か上手い。
確かにカズミは今…というより今までずっと疲れていた。身体的な疲れもあるが、精神的な疲れがもっと酷い。
何故ならカズミは…
「まぁ…シャントの言う通りだな。まだ疲れてる様だし。もう少し休んだらどうだ?」
イグニもシャントの提案に賛成している。イグニの隣でビレームは思いっきり首を縦に振っている。
どうやらビレームも賛成のようだ。
「ほら、皆いいって言ってんだし。もう少し休んだら?」
カズミは仕方なく飛ぶのを諦め、溜息をついた。
「はぁ…。分かったよ。飛ぶのも面倒くさいし。はぁ…。」
カズミはまた溜息を吐いた。しかし、シャントはカズミの溜息よりもある言葉に反応した。
「分かった。カズミってもしかして、面倒くさがり屋さん?」
「え?」
カズミはシャントの放った言葉に驚いた。
どうやら自分が面倒くさがり屋という事に自覚が無かった様だ。
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