思い出

2/14
前へ
/41ページ
次へ
「ただいま~」 と呼んでも誰が答えてくれる訳もない。 解っているけど、暗く寒々している部屋に明るさを! そんな気がして、声を出してみた。 離婚して五年! 嫁と子供は遠い街で暮らしている。 たぶん、逢う事も無いだろう~ 一人、この街で暮らして、なおかつ、今日は雪! 季節外れの天気。 シトシトと降り続いて、静かさを増大させている。全ての音を、雪が包みこむかのように… 一人、テーブルに着き缶ビールを開ける 日々の日課の事、部屋にたどり着くと、行う行動 玄関のチャイムが鳴った。 あ、弘美が来たかなぁ~ 訪ねてくるのは弘美ぐらい 玄関のドアを開けると、ニコニコした弘美が 「きちゃった~」 「早くあがり~あ、雪をしっかり掃ってね~」 と、弘美を部屋に 弘美はコートを脱ぎながら 「今日はゆっくり、お泊りで来たも~ん」 と笑顔いっぱいで 「いいのか?家には何て言ってきたんだ?」 弘美は冷蔵庫から缶ビールを出しながら「友達とカラオケオールてね!ねぇ、乾杯しようよ~」 「うん、おつかれ~」 と二人で乾杯をして、一口呑んだ! 弘美は23歳、俺と歳の差は14歳。 同じ会社の同僚でもある。 弘美が 「ねぇ~勇~勇て呼ぶのやめて、い~ちゃんにしよう~!いいよね~」 勇は「いいよ~」と少し照れながら弘美を見つめた。 弘美は 「い~ちゃんの話聞きたい~ねぇ、い~ちゃんの事をいっぱい知りたいから~今夜は時間もいっぱいあるしね」 と。 弘美は缶ビールを二本目に突入している。 勇も缶ビールをぐっと空けて 「いいよ~じっくり話しようか~子供の時からの話からね」 弘美の頬は酔いで、ほんのり赤くなっている。 「うん、話して~い~ちゃんの話と話方は大好き~」
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加