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人形は鎖に繋がれ、男を求める。
それが彼女たちの仕事だからだ。
でも、私は求める事はしなかった。
男が私を、求めるからだ。
男が求めれば私はされるがままに抱かれる。
それは、私の中で、決まっていた事だった。
ある事を境に、それは脆く朽ちていったが。
……………………………
ある日、店主に呼ばれた。
人形が店主に呼ばれる時は、男に“買われた”時か、“使い物にならなくなった”時のどちらかだ。
私は確信した。
“使い物にならなくなった”と。
係の者に着付けられ、身支度をする。
私は死神たちの着る、
【死覇装】を身に纏った。
そしてその後、店主に焼き印を押される。
熱いなんてモノじゃない。
腕が千切れてしまう程に、痛かった。
「あ…あ゙ああ゙っ!!!!」
私が悲痛の声を上げると店主は私の腕に何かを落とした。
水だろうか。
落ちてきた先を目で辿ると、店主の目に着いた。
店主は目から…“涙”というものを流していた。
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