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:過去の話
空は元々、世界のどこかに存在していたさとりの里に住む少年だった。
その里の古明地家に仕えていた蒼姫家の跡継ぎこそが蒼姫空である。
生まれてきたときには第三の目を持たないという、奇異にして奇妙な身体で生まれてきたが、正確は至って普通の優しい存在であったため、従者含めた家族全員に愛され、また空も愛していた。
しかし、それは赤場家の逆恨みによってズタズタに引き裂かれることになる。
赤場家も同じく古明地家に仕える一族であったが、蒼姫家よりも地位が低く、なんとかして上に上がりたいと思っていた。
そんな時、空が生まれた。
彼等は空を忌子だと罵って、それを理由に蒼姫家を襲撃するつもりだった。
彼等が蒼姫家を敵視し、また襲撃しようと考えていることも理解していた蒼姫藍香率いる従者含めた蒼姫家はいち早く里から離れようとした。
しかしそれは不運にも襲撃の日と一致。
藍香は空を安全なところに預けるため、一度戦線を抜けていた。
従者達も必死に抵抗したが、藍香が帰ってきた頃には既に少数人まで減っていた。
その様子にブチギレた藍香は能力をフルパワーで使い、数分もかからないうちに赤場家等を全滅させた。
現当主赤場海を逃がし、藍香達は里を離れていった。
空は、その後マヨヒガに預けられ、そこで暮らすことになった。
何百年かは幸せに過ごしていたのだが、あるとき空は寝ぼけた紫によって地上へ落とされる。
始めは、すぐに紫や藍が迎えに来ると信じていたが、ついには発狂。
紫が彼の姿を見つけたときには何十人もの死体上に蒼い髪が紅くなるほどに真っ赤に染まった髪をたなびかせて狂ったように笑っていた。
そこまで堕ちてしまっては、彼女が作る理想の楽園は壊れてしまう。
だから、紫は空の記憶を封印し、一般人類として外に置き去りにしたのだ。
……結果的には、幻想が消えていく世界に空を置いておくと空が消えてしまいそうだったから幻想郷に連れて行くことになったのだが。
このような過去の状況、悲劇、そして狂気を思い出した空は前より情緒不安定となった。
しかし、よほどのことが無い限り、空が狂うわけではなく、空の中の空――輝夜戦の空が狂うことにはなっている。
彼が狂うときはもう誰にもとめられないかもしれない。
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