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一階におりる。 サクミちゃんを送っていくつもりで土間をみわたしたけれど、いない。 お客さんもいない。 「あれ、サクミちゃんは?もう帰っちゃったの」 母にきくと、 「ううん。お客さんと川原におりたの」 ぼくの家のうらからは、スチール製のきゅうな階段で、川原におりることができる。 塗装の剥げた階段をカンカンカンとおとをたておりていくと、川原に懐中電灯をたずさえて立つ、お客さんとサクミちゃんのすがたがみえた。 ふたりとも、川をみているのではなく、こちらをむいている。 「‥ここもな、あのちっさな駅ができてからだめになった」 お客さんは、なにやらぼやいている。 「そーなんですか?」 とそう、サクミちゃんのこえがする。
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