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下ろされる決別の一振り。
禁断の果実(桃)は二つに永訣します。
するとなんということでしょう。
これは神の戯れか。
はたまた悪魔の誘いか。
禁断の果実の中には、鋭い眼光を放つ幼き男児が匿(かくま)われておりました。
芝刈りの鬼神(おじいさん)とアヴェ=マリア(おばあさん)は仰天します。
しかしその、雄々しき獣宛らの凄まじい睨みを利かせる男児にただならぬ宿命を感じた両者は、やがて彼を育てる決意を固め、名前をつけてやることにしました。
「フン、貴様に存在をくれてやろう」
霊の支配者(おじいさん)は軽く鼻を鳴らし、男児へこの世に存在しているとする認識の境地をくれてやりました。
禁断の果実から生まれた男の子。
──ラスト・エデン(桃太郎)生誕の瞬間です。
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