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満月の次の夜。
もう何度目かな。
**side Shaun**
マジュンに文を送った。
メロを養女にすると。
そして、スカーレット家から嫁に出すと。
俺はな…メロが好きなんだ。
知らなかっただろ?
「ショーンさん。月に何を見てるんです?愛しい方を想ってました?」
「えっ!?」
いつも俺の心を見透かしてくるな。
「ショーンちゃんは月を観て、メロちゃんを想い出してるんだよね」
「ぐっ…!!」
コイツの動物的な嗅覚は海にいても衰えないな。
しかし、何故バレた?
メロのことは軽くしか話してないぞ。
「好きなんでしょ。だったら嫁にしなさいよ」
「ひぇぇぇへぇぇ…!?」
-カクッ
「ぎゃ!!わぁぉッ?!」
「大丈夫?ショーンちゃん」
石に躓いてよろけそうになった。
マークが掴んでくれて事なきを得たが。
「しっかり前を見て歩きなさいよ」
この、ドSぅぅぅ!!!
ニューブリッジの酒を抜こうとブラブラ歩いているのだが、何故かこうなってしまった。
「あなたはアヤでいるときが本来の姿なんですよ」
「へっ?!」
「だよねぇ~。ショーンちゃんはアヤの話をするときが一番楽しそうだよね。ぐふふ。うひゃ」
俺に向けるコイツらの目。
二人揃って三日月形だぜ!?
「話しちゃいなさいよ」
「メロちゃんってどんな娘?」
俺の恋心をサカナにしようってのか?
コイツらに喋ったら、末代まで笑い種にされるな。
「いや。ふつうのジプシーの娘だ」
背筋を伸ばして平静を装いながらチラッと横目で様子を窺うも…既に両腕をガチッと取り押さえられてしまった。
三日月形の4つの目が俺を襲う。
「吐いてラクになりなさ~い」
「メロちゃんのどんなところが好きなの?」
「あ。いや…!!まあ。笑顔というか…全部です!!」
あッ?!
言ってしまった…!!
「だったら嫁にするしかないですね」
「あ…。でも、メロの気持ちが…その…まだ…」
「なに?!まだそこなの?」
「はい…。まだ…そこ…です」
なんでこうなるのかなあ。
次の展開が恐ろしいわ。
「キャハッハ。天下のスカーレット侯爵がぁ~。キャハハハハハハハッ」
「ショーンちゃんウブだね。うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」
「笑うなぁっ…!!」
やっぱりね。
トホホ。
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