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熱い。
身体中が熱い…。
**side Majune**
確かに感じる。
身体の奥まで見透かされているようだ。
そんなイヤらしい瞳で俺を見るなよ。
やめろってば!
熱くて、たまんないじゃないか。
あんた、相当な身分だな。
旅服を着ているけど、俺の目は誤魔化せないぜ。
貴族様がこんな川辺でジプシーの鑑賞かい?
俺の踊りの虜になれよ。
情熱を感じろよ。
宮殿ではお目にかかれないものを見せてやるからさ。
踊っていると全てを忘れる。
何もかも。
無になって、情熱をぶつけるのさ。
ジプシーに生まれたのは俺の運命。
流れるしかないのが俺たち。
流れを止めては生きていけない。
アヤが言ってただろ。
熱い…。
心の中まで見透かしてくる。
誰だよ。
あんた何者なんだ?
見るなよ。
そんな瞳で見るなよ。
出逢いは運命。
月に導かれた運命。
あなたは、俺を愛してくれた。
あなたは、俺が愛した人。
あなたは…。
美しい悪魔だった。
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