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必死に獣を相手取る青年。
しかし、明らかに劣勢であった。
獣の猛攻に青年はバランスを崩して片膝をついてしまう。
しかしその時、青年は空気が、というよりは空間そのものが変化したように感じた。
その奇妙な感覚に気を取られた青年を、一匹の獣の牙が襲った。
(やばい…っ!)
そう思った瞬間、獣の首が飛んだ。
青年は自分の目を疑った。
頭が失くなったその獣は地面に激突した後、ぴくりとも動かなくなる。
しかし青年の視線は獣の方へは向かなかった。
なぜなら、目の前に突如現れた者に釘付けになっていたからだ。
その人物、少なくとも姿かたちは人に見えるその者は、全身黒ずくめでフードを被っており、
手には巨大な鎌を携えていた。
青年は、首を刎ねたのがこの人物だとすぐに理解した。
「君、大丈夫?」
呆然としている青年に、その人物は声をかける。
女性の声だ。
(女の人…?)
落ち着いて見ると、その人物は青年よりも小柄であった。
「あ…はい、大丈夫です…多分……ん!?」
青年は我に帰ると、周りを見る。
いつのまにか獣の群れは全滅していた。
青年の後ろには黒ずくめの人物がさらに二人おり、
彼らがやったのだろうと想像はついた。
雲の切れ間から月の光が差し込むと、
大鎌の人物を照らし出す。
(まるで死神だな…)
青年は心の中で呟いた。
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