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「良かった、間に合って…。」
大鎌の女性はそう言うとフードを脱いだ。
いつの間にか鎌も消えている。
女性、というよりは少女と表現したほうが適切であった。
少女は心から安堵しているように見えた。
「怪我はしてない?」
少女は心配そうに青年に尋ねる。
「うん、大丈夫…。」
あちこち打撲や擦り傷があったが、何か妙に情けなく恥ずかしい気がして強がってしまう青年。
「良かった…。」
少女は嬉しそうに微笑んだ。
「助けてくれて、その、ありがとう…あの、君は…あなたたちは何者なんですか?それにその犬みたいな化物も…」
青年は獣の死体で何やら作業をしている二人も見ながら問う。
獣の死体、切り口からは血が流れていない。普通の生き物とは存在が異なるようだ。
「…もっともな質問だけど、この状況で冷静だね。」
少女が返事をする。
「まあ、こういうの初めてじゃないから…。」
「…以前にも襲われたことが?」
「うん。」
「そう…今まではどうやって切り抜けたの?」
少女は少し真剣な表情になった。
仕事の顔、といった感じだ。
「とにかく逃げてた。でも今回は数が多すぎて…正直死んだと思った。」
「そっか…じゃあ私たちみたいなのに会うのも初めて?」
「ああ。」
「説明、しないといけないね。けどもう遅いし、日改めよっか。」
「確かに…」
助かったことを実感し、疲れが一気に押し寄せていたため青年はクタクタであった。
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