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後日再び会う約束をすると、少女は先程まで何やら作業をしていた二人を連れてその場を去った。
具体的に言うと、一気に建物の上まで跳んでいった。
黒服の三人が見えなくなり、再び空気の変化を感じたと思うと、青年は何だか夢から現実世界に帰ってきたような気分になった。
青年と別れた後、少女率いる黒服三人衆は周辺の見回りを行っていた。
「彼はなかなか強い霊力を持っていましたね。」
黒服の男の一人が言った。
「そうだね。」
少女はただ一言返しただけだった。
男は何とか会話を作ろうと話を振ったらしく、素っ気ない返事にもう一人の男と顔を見合わせ肩をすくめた。
「!!」
と、その時、少女の目に予想外の光景が映る。
この見回りは、先ほどの化物の残党がいないかを念のため調べるものであり、通常は何事もなく終わる。
しかし、少女たちの目の前にあるのは、残党どころか残骸であった。
それも百体を超えるほどの数だ。
「これは一体…」
男が呟く。
残骸は青年を襲っていたものと同種であるようだ。
「まさか、さっきの彼がこれをやったのでしょうか…?」
「…どうだろう。」
そう答えたものの、少女は確信していた。
(あの人間の他には特に霊力を感じなかった。間違いない…あの時点で既に百体以上倒していたんだ…)
少女は自分でも気づかないうちに少し口角があがっていた。
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