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あれから二日後、青年は指定された時間に指定された場所で黒服の少女を待っていた。
(ほんとに来るのか…?)
なんてことを考えていたが、何かを感じてふり向くと、少し離れたところの人混みに、あの少女がいた。
何かを感じた、というのはいわゆる第六感、少女の霊力を感じたのである。
が、この時の青年にはなんとなくとしか理解されていない。
(こっちに気づいた…?)
少女は青年がすでにこっちを認識していることに気づいた。
(へぇ…服装も全然違うし、この距離じゃぱっと見では気づかないはずなんだけど…てことは私の霊力を感知したのかな。もしそうなら、けっこうすごいな。霊力だいぶ抑えてるのに。)
あれこれ考えながら歩き、青年のもとに着く。
少女は白基調のシャツにチェックのミニスカート、ブーツと、あまりに普通の女の子な服装で、青年は先日とのギャップに戸惑う。
「こんにちは。二日ぶりね。じゃあさっそくだけど…」
と、いきなり話を始めようとする少女に、
「あ、あのさ、どっかで座って話そう。できれば何か食えるとこで…」
立ち話もなんだから、といった具合に提案する。
服装のせいか、青年はいつのまにか丁寧語を忘れていた。
「そうだね、そのほうが。それに一度食べてみたかったのよね…」
提案を受ける少女。
(…何を?)
と青年は思いながらも正直かなり空腹だったのでスルーして、
「じゃああそこでいいよな?」
と早々に提案し、返事も聞かずに近くのファーストフード店へ歩を進めていた。
店内、
「照り焼きバーガーのセット、コーラのMで。お前は?」
青年はいかにも学生的な注文をし、少女を促す。
「え、あ…えっと…な、何がおすすめ…?」
少女は困惑していた。
「おすすめって…そう言われてもな…」
青年も困惑した。
(こいつ…まさかとは思うけど、この店来たことないのか…?)
世界的に有名なファーストフード店だ、さすがにそれはないか、と思いつつも、二日前の大鎌を振るう姿を思い出し、可能性はあるかも、と考え直した。
「じゃあさっきのにチーズバーガーとシェイクのバニラS追加で。」
少女の様子を見ると、どうも代金のことも頭にないようなので、青年はとりあえず二人分支払った。
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