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「…その死神っていうのは、コードネームってやつ?それか比喩表現か…。」
「ううん。死神は種族名で、精霊の一種なの。」
「…つまりお前は人間じゃない、と?」
「うん。精霊っていうのは、神獣や妖怪、悪霊なんかから人間を守護する役目を持った種族のこと。ちなみにこの前のは神獣ね。」
「…………………。」
青年は、化物の存在はともかくとして、この少女が人間でないということはさすがに予想外だった。
真琴は話を続ける。
「精霊には死神の他にも、鬼、天狗、天使、悪魔、エルフ、ドワーフ、ヴァンパイア、ウンディーネ、サラマンダー、シルフィード、ノーム…で全部かな?まあ色々種族があって、それぞれ担当区域をもって顕界で役目を果たしてるの。私たち死神はこの列島の西側と、中央大陸…ゆーらしあだっけ?の極東南方面を担当区域としてる。」
「そんなにいるのか…。」
「まあ世界は広いから…護るにはそれだけ数も必要だよ。」
「そうだな。…ところで、この前の犬についてだけど…あれは何なんだ?神獣っていったっけ。」
青年は一番聞きたかったことを切り出した。
「そう、神獣。この前のはヘルハウンドっていう低級のやつ。」
真琴はストローの先を指でいじりながら説明を始める。
「神獣は不定期的に起こる空間の歪みで違う空間から流界してくるの。流れてきた神獣は例外なく暴走状態で、霊能者、つまり霊力を持った者を襲う。」
「正体は分かってないのか?」
「うん…。歪みが起きる理由も、どこから流れてくるのかも含めて何も分かってない。まあどこから流れてくるのかだけはなんとなく検討ついてるんだけどね…」
「…その言い方だと、検討はついても確認のしようがないって感じか。」
青年はなんとなく察した。
「そういうこと。もう千年以上も前から調べてるのに、どうしてもその空間への入口は開かないみたい。」
「その空間っていうのは…」
青年は‘神獣’という名前からぼんやりとだが思い当たった。
「天界…。」
真琴は真剣な面持ちで呟くように答えた。
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