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「はぁ~…」
「どうしたのよ溜息なんか吐いちゃって。」
二年前と変わったことと言えば、そうだなぁ。
「どうしたってホラ例の、まだ告白出来てねぇんだよー…」
「えっ!しょうちゃんまだ告ってなかったの!?」
俺が“しょうちゃん”って呼ぶようになったのと、いつからかは忘れたけど俺がしょうちゃんの相談にも乗るようになったことかな。
当初は先生なんてあまり頼っていなかったけど、同世代との距離感がイマイチ掴めない俺にとって、しょうちゃんの存在は有り難いものへと変わっていった。
「うっせー!!だって絶対フられるもん!」
「やってみないと分からないじゃないですか!」
「無理無理無理無理っ!!!叶うわけないっ!」
「いーから告れや!」
しょうちゃんの手の動きがピタリと止まった。
何をこんなに騒いでいるかというと、しょうちゃんには本当に大切に想ってる人がいて(どうやら美人で色白で可愛いらしい)、その人に告白したいんだけど出来ないみたいで。何年も自分の想いを胸に秘めたままっつーんだからそりゃもう驚きだよ!
「ぜってーフられるし…」
「んなこと言ってっと誰かに盗られますよ?」
「それだけは嫌だ~…!」
しょうちゃんの悲痛な叫びが室内に響き渡る。
ま、頑張んなさいよ。
そう言おうとした瞬間、研究室の扉がガラガラと開き、ドアの方に目をやるとおおの先生が立っていた。
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