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 ……あ~、良い天気だ……。  ……緊張する……。  まったく、いったいどれだけ待たせるんだよ……。  そろそろ一時間位経つんじゃないか?  あ~……最前列怖ぇ~。  ……それにしても、警官五年はやってるが、こんな事、前代未聞だぜ。  逃走中の犯人を、しかも、爆弾テロ集団を、よりによって、ハイウェイに誘導するなんてよ。  しかも、何だよ、このパトカーの数。  何十台有るんだ?  道、埋め尽くしてんじゃねーか……。  はぁ……まったく……一年半前から、本当に世界はおかしくなっちまった……。  このアメリカも、東と西で分かれちまうし……。  人類滅亡とか、俺の正義感が許さねーから、ツクヨミ派についたけど……。  ……正直、あのヴィヴィとか言うヤマトナデシコの女が、俺のドツボだったっつー理由もあるけど……。  正直、平和に暮らしてる善良な市民を巻き込まないで欲しいねぇ……。  二年前にこの街に転勤になった時は、こんな事になるなんて思ってもみなかったぜ……。 『━━━━━』  さっきっから耳障りな無線が、ターゲットの位置を知らせてるが……この分だと、そろそろ来やがるな……。  ミッションはハイウェイへ誘導、それだけ。  ……最前列怖ぇ~……。  ……生きて帰ったら、仲間と飲みにでも行くか~……なんて、こういう事言うと、大体死ぬんだっけ?  やめとこ。  …………。  おっと……えらい数のエンジン音が近付いて来やがる……来やがったか……。  ……見えた!!  大小多数の真っ黒な車にバイク……。  うわ、露骨にマシンガンやらロケット砲やら持ってやがる!! 「伏せろ!!!」  了解、ボス、言われなくてももうやってるよ!!  その直後、自分のパトカー一台を介した向こうを、地響きとエンジン音を轟かせ、暴走集団が駆け抜けて行った。  そして、一拍置いてそれを追う、種類の違うエンジン音。  俺はこっそり頭を上げ、フロントガラス越しにその姿を見た。  ……そして、一瞬の出来事だったが、思わず見とれちまった……。  駆け抜けた紅いバイクに跨がる、紅い女……。  熱したナイフ……そんなイメージ。  その後ろに、黒い翼の様にコートを靡かせる男 ……。  やべぇ、映画みたいだ……。  めちゃくちゃクールで、鳥肌が立ちやがる……!  そうか、あれが噂の……。
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