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ジャンクションの大きなカーブを駆け抜け、ハイウェイに突入したバイクは、猛スピードで前方集団を追走する。
「ッハァ!! 良いねぇ、テンション上がって来やがったぜ!!」
身を乗り出す様に運転するナルクヮが、高らかに吠える。
時速を示すゲージは、百五十を超えて、今も尚上昇を続けている。
景色を高速で置き去りにし、風を切り裂く音が耳に響き、エンジンの振動が内臓を揺さぶる。
「安全運転で頼むぜ、ナルクヮ!!」
彼女の後ろにしがみつくレイヴンが、楽しげに警告する。
「けっ、ふざけんなバーカ!! メインに振り落とされんなよ!!」
そう言い放ち、ナルクヮは更に速度を上げる。
メイン……鬣を意味する英語。
この紅蓮のバイクの名だ。
レイヴンは首に掛けるインカムのマイクに声を叩き込む。
「こちらガーネット!!
ダベンポートから、U.S.ハイウェイ61を北上していたが、今インターステートハイウェイ80に入り、西に向かっている!!」
『こちら、オア、了解!! しっかりモニターしてるっすよ、レイヴン先輩!!』
右耳のイヤホンから、彼女のハイテンションな応答が聞こえる。
「ユテア!! ダイヤモンドとアメジストは!?」
『両方確認済みっす!』
「了解!! ナビゲーション頼む!!」
『ターゲットは、天照二組がガードしてるっす! 最前を走る車に、ターゲットと一組。併走するバイク二台に一組。
ダイヤモンドはポイントでスタンバイ、アメジストは既にネブラスカ州に入ってるっす。
今の所、朔の存在、報告は無いっすね。レイヴン先輩とナルさんは、そのままターゲットを追いつつ、可能ならクリアしちゃって下さいっす』
「了解!」
と、その直後だった。
「来るぜ!!」
「!」
ナルクヮの警告に、前方を見れば、集団の中の、バイク数台が、速度を遅くし、こちらに接近して来て居た。
その全員が、手に自動小銃を手にし、ニ人乗りをしている三組は、後ろに座って居る者が、大型の機銃の様な物を手にしている。
「遊んでやれ、レイヴン!」
「ナルクヮは遊びすぎるなよ!」
言下、レイヴンは両手を広げ、それぞれの手に銀色の拳銃を出現させる。
「さぁ、歌えクラズ! 奏でろギエナー!!」
その時、最も近い敵二人が、銃口をこちらに向け、その引き金を引いた。
連続した軽快な爆音と同時に、ナルクヮはバイクを大きく左右に蛇行させ、その銃弾を避ける。
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