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 すると、敵は更にもう一人増え、紅いバイクを狙う銃口は三つとなり、銃声の量は一気に増えた。 「ライズ!!」  その瞬間、ナルクヮが言うと同時に、彼女は重心を勢い良く後ろに下げ、レイヴンは軽く飛び跳ね、座席の上に足を掛け、踏み込む。  それによって、バイクは前輪を跳ね上げ、レイヴンは同時に、左手の銃を消しつつ、その手をナルクヮの頭の横から前に伸ばし、跳ね上がったハンドルを掴み、左足で突っ張る形でバイクに張り付いた。  その状態のままバイクは走行を続け、結果としてバイクはレイヴンとナルクヮの盾となり、襲来する銃弾を弾き、防ぐ。  しかも、敵の弾丸がタイヤに直撃しようとも、傷一つ無く弾き飛ばす。 「人間ごときが作った武器なんか、ウチのメインにはへでもねーぞ、コラァ!!」  跳弾と火花を散らしながら走るバイクを操りながら、彼女は高らかに言い放つ。  その為、現状を無意味と察した敵達は、次の行動に出る。  先に攻撃を仕掛けた2人が速度を遅め、素早くナルクヮ達の背後に回り込んだ。  盾は前にしかない。  その無防備な背後から、奇襲を掛ける。  だが、その瞬間。 「ダウン」  レイヴンが言うと同時に、ナルクヮは再び前輪を降ろし、2人は元の姿勢に戻る。  その瞬間、敵は発砲する事が不可能となった。  もし回避されたら、仲間を撃つ事になる……。  瞬間、レイヴンは両手を前に伸ばし、引き金を引いた。  轟く爆音は同時に二つ。  それに合わせ、前を走る敵の二人が、ぐらりと倒れ、高速でアスファルトを転がりながら、景色と共に置き去りにされて行った。 「!!」  後方に廻った二人の、それぞれ目の前から転がり来るその骸とバイクを避け、再び銃を構えた時だった。  レイヴンは、仰向けに寝る様に大きく反り、両手を真っ直ぐ後方へと伸ばして居た。  そして、その手の銃口が、後方の二人を狙い、爆音を一発ずつ轟かせる。  そしてその二人は、たった今避けた二人の後を追った。  直後、敵は再び掃射を始め、それと同時に、ナルクヮは蛇行して銃弾を避けつつ、左手をハンドルから放し、前に延ばすと、その手にあの大刃を出し、弾幕からの盾にした。  それに合わせ、レイヴンは素早く起き上がりつつ、前方に向けて乱射を始める。  始まった銃撃戦の中で、敵は一人、また一人と倒れ、視界の後方へと消えて行く。
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