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 するとその時、ナルクヮの視界に、銃を乱射する敵軍の奥で、携行ロケット砲を構える敵の姿が映る。 「ぅおっ、RPGかよ!!」 「判ってる」  弾幕の中、咄嗟に叫んだナルクヮに対し、レイヴンは冷静に構える。  直後、そのロケット砲、RPG-7が、その弾頭を射出した。 「むしろ好都合だ」  それとほぼ同時に、レイヴンは乱射を一瞬止め、狙い済ました一発を放つ。  その弾丸は、真っ直ぐに、吸い込まれる様に、ロケット砲弾と正面衝突する軌道で飛び、そして直撃し、貫いた。  刹那、放たれて間もないロケット砲弾は、敵陣に限りなく近い所で炸裂し、爆炎を上げる。  その炎と衝撃波は、前方のバイクを駆る者達を巻き込み、纏めて吹き飛ばした。  ナルクヮとレイヴンが、眼前に広がった黒煙を突き抜けた時、敵のバイクは、かなり数が減っていた。 「へ~……流石じゃねーの!」 「次が来るぞ」 「っと!?」  既に間髪入れずに、敵は次の行動に移っていた。  生き残った者達は、先程よりも大型の銃器を構えており、更に新手として、装甲車の様な車の窓や上から、数名が武器を手に顔を出した。  しかも、その武器は、小型爆弾を射出するグレネードランチャー。 「……レイヴン、撃ち落とせ……」 「無理だ」 「だよな……」  直後、敵は再び銃の乱射を始めた。  更に、グレネードランチャーの爆撃が、バイクを大きく揺さぶる。  右手で運転し、左手で盾を作る彼女は、先程よりも威力の高い攻撃に、明らかに苦しそうな表情を見せる。 「だぁ~……腕に来やがんな~やっぱ。  レイヴン! ちと、そっからハンドルキープしててくれ!」 「!? おう!」  言われたレイヴンは、迎撃の発砲を止め、銃を消して手を伸ばし、ナルクヮが手放した左のハンドルを掴む。  すると、彼女は右手を放し、徐にバイクのキーを掴む。 「さぁて、吼えやがれ、メイン!!」  言下彼女は、本来ならばエンジンをかける方向へ、思い切りキーを捻る。  その途端、彼女のバイクは、今までと全く違うエンジン音を放ち始めた。 「ウチにしがみつけ!! マジで振り落とされんなよ、レイヴン!!」 「!!」  直後、レイヴンが指示通り彼女にしがみつくと同時に、彼女はスロットルを捻る。  その瞬間、エンジンは唸りを上げ、バイクは急激に加速し、敵陣へと一気に突っ込んだ。
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