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未だに理解出来ない師の教えがフラッシュバックする。日本はだから、様々な神に守られているのだっけ。
『では行ってきます』
『よろしくお願いします、ビバルディさん』
Mr.vivaldi。自分には似つかわしくない呼び名に、青年――勝利 勝利(しょうり かつとし)は苦笑いを浮かべた。
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田舎の村で吸血事件が起きた。その解決のために依頼が出されたものの、たらいまわしをくらって遠く日本の四宮まで流れてきた。すぐに動けそうで英語が多少でも出来る狩人が勝利だけだった。
そんな単純とも数奇な運命ともいえる流れに勝利は何も感じない。いやまあ、たらいまわしにしてやるなよぐらいは思ったけれど。
漁村のすぐそばに広がる深い森の中を歩きながら、やっぱりビバルディなんて仰々しい名前自分には似合わないよなぁ、なんて考える。
音を扱う能力者達が、脈々と弟子に受け継がせてきたコードネーム。勝利が狩人として独り立ちした時に師匠が譲ってくれた名だが、根っからの日本人である勝利はいまいちビバルディという名前に馴染めない。
まあ受け継がなければいけないもの、だとは思う。よりによって教科書にも載っている音楽家の名前というのは納得いかないが。
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