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「ナイアルラトホテップの眷属の一つだ。詳細な名前は知らないが、吸血鬼伝説から受肉した存在と見て間違いないだろう」
ナイアルラトホテップ。その言葉にどくんと心臓が跳ねる。勝利ではなくビバルディとしての心がにわかに騒ぎ出す。
「――それは本当に?」
「ああ。私はクロバネと違ってつまらない嘘はつかないからな」
クロバネというのが何の事かは分からないが、本当ならばそれは譲る事の出来ない、勝利の――いや、ビバルディの獲物だ。ヒマントロフスには引き下がってもらった方がありがたい。
「ではな。検討を祈る」
止める間もなくヒマントロフスは階下へと向かう。もっとも、勝利に止める余裕もなかったが。
心臓が脈打つのがはっきりと分かる。ドクドクと熱い血を吐き出す心臓を休ませる手立てがない。
ビバルディを襲名するにあたって、勝利は厳しい訓練と新たな能力を課せられた。それは勝利がビバルディとして活動するために必要な、最低限のメンテナンスであり、過去のビバルディ達からの要求だった。
勝利本来の能力は音を保缶し解放する、それだけだ。しかしビバルディとしての能力はいくつもある。だがそれを使うには、様々な制限があった。
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