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再び病室へ戻ると、志穂は無邪気に微笑みを浮かべて私を呼んだ。
「ショコラ!」
うん、と頭の一振りだけ返して、私は椅子に腰掛ける。
「痛いところとかない?」
「…べつに」
私の質問に答える声は拗ねている。
ショコラ、と呼んだのをおざなりに返されたのが不満らしいけれど、私はそれを敢えて無視した。
「頭は痛くない?体は大丈夫?」
「……」
彼女はいかにも不機嫌です、と言いたげに眉を寄せていたけど、
「お腹とか痛くない?」
と私が質問を重ねると、下腹部に手を当てて小さくうなずいた。
「あの日の痛みなのかな…ちょっといつもよりキツいかも」
ぴく、と西村さんの肩が震えたのが分かった。
小唄ちゃんが志穂に駆け寄って、ママの手の上から自分のを重ねて。
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