それは

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  豊、彩 5才 『アヤー、何やってんのー?』 『あっ、ユタちゃん!』 私たちがまだ仲良しだった頃 公園に遊びに来た私が、木の下で背伸びをしているアヤを見つけた 『帽子が木に取られちゃったの』 半泣きでアヤが上を指差すと、 高い位置の枝に、アヤの帽子が引っ掛かっているのが見えた 『あれくらい、取ってあげるよ』 そう言って私は、当時マイブームだった木登りを彩に見せつけた カンタンに帽子に手が届き、アヤに笑って見せたその時 『ユタちゃ―…っ!!』 木の枝が大きくしなり、鈍い音と共にガクンと体が下にさがった それと同時に私の小さな足は木の枝から滑り落ち、そのまま宙に放りだされてしまった
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