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午前零時を過ぎる頃…
ベッドの中に潜り込み、安らかな
眠りに落ちていた少年の表情に、
苦悶の色が浮かぶ。
次第に汗が噴き出し、その額を
流れ落ちていく。
『…て欲しい…』
『お願い…聞いて…』
『もう…他には…』
ベッドの足元の方から、這い上
がるように、呻くように、老若男
女入り雑じった『声』がしている
のが、少年にはハッキリと聴こえ
ていた。
「うう…」
枕元にある、アナログの目覚まし
時計の針が、虚しく時間を刻む音
だけが、妙に耳障りだった。
『…聴こえてるんでしょ…』
『そうだ…君なら…』
時計の針が午前2時を過ぎる頃
、少年の我慢が限界に達した。
「やっかましぃーんだよ!! 眠れ
ねーだろが!! バカ野郎!!」
ガバッと布団をはね除けて上半
身を起こした少年は、怒鳴りつけ
ながら枕をベッドの足元に向けて
投げつけた。
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