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物心ついた時には既に視えていたから、生まれつき、という事なのだろう。が、平凡なサラリーマンの父と、これまた平凡に専業主婦をしている母には、まるで視えない。
母の実家は福井の田舎で、代々神社の宮司を務めている家系ではあるが、祖父・祖母にもそんな力はないのだから、決して血筋というものでもない。
たまたま、そういう体質だった、というだけのようだ。
人には見えないモノが視える。という事が、どういう事なのかよくわからなかった幼い頃は、視えるモノ、聴こえる事を素直に口に出していた為、周囲からは奇異の目でみられる事が多々あった。
そんな周囲との温度差を、成長と共に理解した聖は、不用意に口に出さないようにした。
それが、周囲との円満な人間関係を築く最善の方法だった。
両親を除いては…。
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