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「でも、アキちゃんみたいに霊感の強い人って、お坊さんでもそう居ないんじゃない?」
「多分ね」
「じゃあ、仕方ないわよ。諦めなさい」
「他人事だと思って…」
軽く言ってのける母に、聖は顔をしかめて息をつく。
「とにかく!しっかり食べて、頑張んなきゃね!」
明るい笑顔で言いながら、頬杖をついている聖の前に、出来上がった朝食を並べる。
こんがりキツネ色の表面にバターを塗ったトースト。
薄く白い膜の張った、半熟加減の黄身が揺れるハムエッグ。
付け合わせに、ミックスベジタブルのスパゲッティ。
別皿に盛られた野菜サラダとスープ。
とどめのデザートに、赤い耳が可愛らしいウサちゃんリンゴが控える朝食メニューを前にして、聖はげんなりした。
「何で朝から、こんな大量なんだよ…」
寝不足で食欲が出ない、と毎朝訴えているにも関わらず、その量が減る事はない。
「朝は一日の始まりでしょ!しっかり食べなきゃね♥」
にっこり微笑む母に、もはや抗議する気力すらない。
聖は、観念したようにフォークを握った。
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