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【予想だにしなかったことね。私も、こんな形でここを訪れることになるなんて思いもしなかったわ】
何気なくが呟いたヒューリーの一言に対しどこからか声が聞こえてくる。
どこか無機質なその声色は、どうやら女の声のようだが、男の周りに女の姿はない。
だが代わりに、ヒューリーのアーマーの至る所が声に合わせて青く光っていた。
まるで、このアーマーが喋っているかのような…。
「……警備が甘すぎるんだよ。おまけにまともな装備も置いてない。全く、アメリカ一重要な場所だってのに。」
そう女の声に対し、愚痴るように答え、煙草の煙を口から吐き出すヒューリー。
そして時計を見て、時間が近づいてきていたことに気付くと、電子煙草を腰からぶら下げたケースの中にへと仕舞い込んだ。
「……やっと準備をし始めたか」
やっと動き出したヒューリーをガラス越しに見て、呆れた口調でそう呟く男。
その声色から、大分このヒューリーのせいで苦労しているようだ。
ヒューリーはそれを知ってか知らずか、立ち上がると屈伸運動を含めた準備体操をし始めるのであった。
<……ヒューリー。分かっているとは思うが君の任務は全敵兵の殲滅、及び‘大統領’の護衛だ。失敗は許されない。万が一の事があれば、我々全員の首が飛ぶものと思え>
艦内放送用のマイクを手に取り、男はヒューリーに対してそう注意する。その行動から、男はこの中でもリーダー格の人物のようだ。
これは、最早自分の命をかけた任務だと言っても過言ではない。いや、今まで何度もそのような任務はこなしてきたが、今回はそのどの任務とも比べ物にならないほど、重大な任務なのだ。
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