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職員室に行くと、
話しは親の事だった。
まぁ大体は予想してたけど。
あたしには、両親がいない。
お父さんはあたしが生まれる1ヶ月前に事故で亡くなり、
それから女手一つで三兄弟を育ててきたお母さんもあたしが中学校2年生の時、病気で亡くなった。
だから今は、父の遺産と母の保険金で生活してる。
「…かわいそうにな…」
話しをしたあと担任がぼそっと呟いた。
「………かわいそう…ってなんですか?………あたしは、自分の事を自分でかわいそうなんて…思った事…一度もありません。…なのに…なんで先生に…かわいそうなんて言われなきゃなんないんですか?…」
あたしが親の事をあまり話さない理由はこれなんだ。
あたしは親がいない事に同情されるのが嫌で嫌でしょうがない。
あたしの発言に担任は驚いている様子。
「………すいません…帰ります……」
言ってから後悔…。
何言ってんだ…あたし…相手は先生なのに…。
足早に学校を出て家路を辿る。
あたしの1年間もう終わったも同然…担任と気まず過ぎるよ…。
ケータイで時間を確認するとまだ12時。
お姉ちゃんとご飯食べに行こうかな…。
お姉ちゃんは美容師の見習いで仕事は昼までか昼からかで決まっているから、お昼時は大体暇していた。
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