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「……嘘…だろ…?」
嘘であってほしいとあたしも思う。
なんで自分なのか、って。
何故、記憶が無くなったのかは誰も教えてくれない。
それも自分に対しての思いやりだとは理解しているが、やはり気になるという気持ちもあった。
不幸中の幸いというところか、記憶喪失になっても家族の事や勉強、生活習慣など常識的な事は覚えていた。
「佐々木さん。何か言葉を聞いた時に頭が痛くなってきませんでしたか?」
…………そういえば…
「…………………………ミ……キ…ト………だったかな……?」
「「ミキト?」」
医師と本間が口を揃えて言う。
「……確か…ミキトと続いてる?って聞かれたら頭が痛くなってきて……………」
「…続いてる?って聞かれたって事は…お前、そのミキトってやつと付き合ってたんじゃないのか?」
「…でも…記憶を無くしてから一人も彼氏って名乗る人いなかった…彼氏なら来るはずでしょ…?」
「………それも…そうだな…」
―――ガラガラっ―――
「多華!!」
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