嫌い。

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―――――― 朝起きると、既にあたししかいなかった。 パンを焼いて、バターを塗ってひとかじりする。 あぁ…お母さん欲しい… お母さんの事を考えるとつい、涙目になってしまう。 だって、あたしは、お母さんの顔も覚えていない。 お母さんゴメンね… …思い出せなくて…ごめんね… 天国の母に届くように、心の中で何度も謝る。 ―――― 支度も一通り終わり、家を出て学校に向かう。 やっと着いた学校は、なんだか懐かしく感じた。 教室に入ると、 「多華オッハ!」 甘奈が声を掛けてくれた。 純粋に嬉しい。 「…そういえば、あたしらまだアド交換してないよね!しよ!多華!」 甘奈はエスパーなのかも。 「…うん!」 赤外線通信をしてアドレスを交換すると、 「…席つけー!」 本間登場。 あたしがいることに気がつくと、 「おっ!佐々木!おはよう」 「……オハヨーゴザイマス」 棒読み。 そんなあたしに本間は苦笑している。 ショートホームルームも終わり、1限目は体育。
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