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「アンタ、よくあたしの前にノコノコ現れたわね。」
コイツのせいであたしは……。
ううん。
思い出すのはやめとこう。
「勘違いするな。
たまたまだ。
千夏こそ、俺様の眼鏡踏みやがって。」
何この王様みたいな態度は。
どんだけ俺様なのよ。
性格まで変わってくれやがって……。
生意気にあたしの事名前で呼ぶな。
イライラする。
モヤモヤする。
コイツと話してると複雑な気持ちになる。
あたし、もしかしてまだコイツが……好き?
「……アンタのせいで、中学生活悲惨だったのよ。」
……思い出したくない。
コイツのせいであたしは女子から仲間外れにされ、中学時代は悲惨なものだった。
コイツがモテすぎるから……。
思い返してみればそうだった。
コイツはイケメンで今と違って超明るくて爽やかな奴だった。
噂ではファンクラブや親衛隊もいるとか……。
コイツの存在は勿論あたしも知ってた。
同クラで目立つ存在だったし。
三年になってあたしが生徒会長どコイツが生徒会副会長になって……。
あたしも役職柄目立つ存在になった。
それからあたし達は自然な流れで付き合うようになった。
けどあたしは周りからの疎外感に耐え切れなくなって別れを切りだしちゃったんだ。
始めは後悔してたけど、やっと今気持ちの整理がついたんだ。
「それは仕方ない。」
澄ました顔で何言ってるんだか……。
「『仕方ない』ですって?」
ホント、ふざけてるわ。
「俺様かっこいいし、逆恨みされても仕方ない。」
前言撤回。
コイツ、開き直りやがった。
こんな奴、嫌いよ。
「ナルシスト。
アンタなんか豚に食われてしまえ。」
どうして労いの言葉かけてくれないかな~。
「ま、俺様達は終わったわけだし高校生活お互いにエンジョイしようぜ。
は・な・び・し・さん。
じゃあの!」
蓮は手をヒラヒラさせながらさっさと立ち去っていった。
相変わらず、嵐のような男だ。
「……今頃あたしの前に出てくるな!
バッキャロー!」
溜まっていた気持ちが爆発してあたしは思わず叫んでしまった。
「うるさいんだけど。」
……怒られたし。
「す、すみません。」
取り合えずあたしは謝る。
……これからどうなるのかしら。
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