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そんなリアクションをするということは、やっぱり500万は高いのか。そういえばプランナーの人もやや高めだと言っていたっけ。
けれど俺も唯もその金額に納得済み。コースプランに加えて自分がやりたい追加プランを出し合って、そこから何個かに絞った結果が500万だったんだ。後悔はしていない。
といっても、それは結婚式が中止にならなければの話だが。
「分かるか? 霧島の結婚式には500万もの額がかかっているんだ。そして今霧島は式に遅刻しかかっていて、予定から1時間、つまり12時までに到着が間に合わなければ式は中止になる」
岳人が威圧的に浩二に顔を近づける。
「ここから式場までどのくらいかかったか知っているかい? 90分だ。1時間30分。その意味が分かるか?」
「………………」
「車を飛ばせば間に合うかもしれない。だからキミのわがままに付き合ったとしても大差ないのかもしれない。だかもし渋滞に巻き込まれたら? 立て続けに信号機に引っかかったら? まあまず間に合わないだろう」
そして岳人は迫力のある顔を一変させて、爽やかな笑顔を振り撒いてこう言った。
「さて上野。ひとつ約束して欲しいんだが霧島の結婚式が中止になったらキミが式場費用を立て替えてくれるな?」
「すぐに出します少々お待ちを」
ドルゥゥゥン。顔面蒼白の浩二クンが車にエンジンをかける。すぐに発進準備を整える。
「……絶対遅刻させねぇ。させねぇからな! 式場費用の立て替えなんてごめんだ! そんなに貯金持ってねぇから! 俺は安月給なんだぞおおおお!」
「─────、」
「意地でも式を挙げさせてやんよォォォォォォ!!」
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