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「ぶっ!?は、春乃さん!唐突に何をダイナマイトアピールしてるんですかっ!?」
「ダイナマイトアピールぅ?なぁにそれ。お姉さんはただ腕を組んでるだけよん」
「そんな腕を上下に揺らす腕組みは存在しない!それと、俺はどこもチラチラ見てなんて………ああ、認めます。見てました!春乃さんの胸をついチラチラ見てました!嘘ついてごめんなさい!土下座でも何でもしますから誇らしげな顔して一層激しく揺らさないで見せつけられてるこっちが恥ずかしくて死んじゃいますからぁ!!」
恐るべし女性の胸。
顔に熱を帯びつつ両手を盾みたいにしてあたふたすると春乃さんは『そっ、じゃあ仕方ない』と軽いノリで腕組みをほどき、少し前屈みになり上目遣いをして、
「それなら触ってみる?」
「……冗談、ですよね?」
「ええもちろん」
即答だった。まぁ考えるまでもなく当然だ。
俺だって予想通りだったし初めから期待なんて塵1摘まみ分もしていない。残念だとも思わない。
なのに……内側から沸き上がるこの敗北感は一体……
「えーっと、その、ごめんなさいね。まさか胸を押さえて苦しむほどショックを受けるなんて思ってなかったから。……しょうがない。責任をとってお姉さんが一肌脱いで……」
「こら。タンクトップに手をかけるな。本当に一肌脱いでどうする。この手は自分に向けたものであなが責任を感じる事じゃありませんって言ってる傍から脱ごうとするなこの露出狂!!」
などと全力で叫んだ訳だが、俺は朝からヒトサマの玄関前で何をしているんだろうな?
と、そこへ、
「ちょっとうるさい。近所迷惑だって分からないの?」
春乃さんの後ろから声がした。呆れたような、俺の恋人の声。
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