人生思い通りにはいきませんっ!

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絶叫を上げる暇すらなかった。気づいた時には、俺達は反対車線に移動していた。 浩二は素早くギアチェンジして、今まで走ってきた道のりを逆走する。一方パトカー軍団は浩二と同じようにスピードを落とさないまま180度転回することはできないと判断したのだろう。ブレーキをかけてそれまでのスピードをゼロにする。 後続の仲間も慌ててスピードを落とすが、ドン、ドンッ! と停車の判断が遅れた何台かは追突して軽い事故を起こしていた。 「ハッハー! ヴァカ共め!『頭文字「D」RIVE』を読み込んで磨いた俺様のドライブテクに付いて来れるはずねーだろうが!」 テメェらとの鬼ごっこもこれまでだ!! と言って勝ち誇り、高笑いする浩二。漫画を読んだ程度じゃあんなターンはできないと思うが、もはやそんなつまらないツッコミをする気にもなれない。だってやっと警察の追跡から逃げられたのだから!  停車したパトカー軍団との距離をぐんぐん開けつつ、俺は難しい問題が自力で解けた時のような高揚感を覚えながら口元を綻ばせて、 「いっ、いいぞ! よくやった浩二! やり方はかなりムチャクチャだったけど、そのムチャクチャをやってのけたお前は天才だ!」 「俺が天才? ふっ……そんなの、全人類が知ってるジョーシキ! それを今頃気づくなんて、時代遅れもいいところだぜ!」 「ああもう、最高の気分だ。あはははっ!」 「だったら俺と一緒に叫ぼうぜ! 俺も最高にハイな気分なんだ! フゥ――――――!!」 「フゥゥ―――――――――!!」 浩二に続いて俺も叫ぶ。左の歩道を歩く通行人が何人か不思議そうに俺達を見ていたが気にしない。何故なら最高に気分が良いからな! 助手席の岳人は俺と浩二の機構を一瞥した後、呆れた顔を浮かべる。しかしよく見ると、口角が少し吊り上っていて、見ようによっては笑っているようにも見える。 「さああとは式場までひとっ走り! とばして行くぜぇぇ――――!!」 「オォ――――!!」
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