催眠術にはご注意をッ!

9/36
11013人が本棚に入れています
本棚に追加
/816ページ
「霧島くん? 何をそんなに怯えているんですか? さあ。杏奈ちゃんの催眠術にかかってあげてくださいですぅ」 『かかって』ではなく『かかって"あげて"』。 そうわざとらしく強調した西条はニッコリと笑う。その裏には不吉な影が隙間なく張り付いているように見えてしょうがない。 嫌だ。 嫌だ嫌だ嫌だ! 催眠術にかかったフリなんてしたくない! 断固拒否! というか西条がいる前ではやりたくないだってこの娘何を考えているか分からないものッ!! 離脱しなければ。この場から今すぐ離脱しなければッ! 「いや、その……なあ杏奈? 今日は止めにしないか? 浩二の事も気になるしさ。そうだ!今から皆で保健室に行、」 と、言いかけた時だった。 ガシッ、と。 両脇から細長い腕が伸び、俺の体をがっちりロックした。背中からはラベンダーのような香りと、むにゅうと柔らかい二つの感触が伝わってくる。 「おっと。逃げるなんて男らしくないじゃーん?」 「あ、藍原!?」 首を回し、後ろを向くとニヤリと笑う藍原がいた。 「くっ、このっ、離せ!」 「へへっ。やなこった。せっかく面白くなりそうなのに、みすみす逃がすわけないじゃん」 「面白いのは見ているお前らだけで俺は楽しくない! てか怖い!」 「だいじょーぶだって。死にゃしないよ……たぶん」 最後のトーンがリアルすぎる!! ますます恐怖心が高まる中、俺は唯に助けを求めようとした。唯ならきっと俺の味方に付いてくれるはずだ。 しかし、すでに手を打たれていた。 ちらっとそちらを見れば、唯が仰向けに倒されていて、その上に汐音さんが馬乗りになっていた。そして両手を使って彼女の両腕を封じている。 「会長さん。霧島くんが催眠術にかかるまで唯ちゃんをしっかり押さえていてくださいですね?」 「ええ。押さえますとも。しかしその代わり約束は守ってくださいね?」 「分かっているですよ。明日、あなたの分もお弁当を持ってきます。勿論私と同じもので、これより大きな重箱に積めますですぅ」 いつの間にか汐音さんが買収されてる!? クソッ、これじゃあオレを助けてくれる人はひとりもいないじゃないか!
/816ページ

最初のコメントを投稿しよう!