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「え……?」
銀行のATM機に表示されるのは『残高890円』の文字。
この数ヶ月、私は白兎の店に通いつめた。
白兎とたくさん時間を過ごしたいという思いから、何本も何本もボトルを下ろした。
貯金を崩してでも白兎に逢いに行った。
でも――…
等々、貯金が尽きてしまった。
もう前みたいに、白兎と一緒にいられない。
――…どうしよう。
お金の心配よりも、白兎と過ごせない時間の方が私には苦痛だった。
とぼとぼと歩きながら足は白兎の店へと向かう。
◇◆◇
「ありす、どうしたの?」
心配そうに私の顔を覗き込む、白兎。
「あ、あのね。もう、前みたいにボトル下ろせない……んだ。白兎と一緒にいたいんだけど……貯金、無くなっちゃって」
恐る恐るそう告げる私に白兎は「そっか」と呟くと、申し訳なさそうに口を開いた。
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